読むだけで 絶対やめられる 禁煙セラピー アレン・カー |
とはいえ、僕も25才までタバコを吸っていた。もうやめて6年だ。25という年齢でお分かりだと思うけど、そうなんです、カッコつけてたんです。25のある日、自分がカッコつけてることを腹の底から理解し、顔が真っ赤になって、タバコをやめた。それまでも口では「タバコはカッコつけ」とか言って、それでジョークのつもりだったんだけど、まあとにかくいろいろ恥ずかしいDeath。
本書の冒頭で著者は、喫煙という行為がその他の悪癖と共通するトコロがあり、その克服方法にもまた共通点があると示唆しているが、それはとっても同感で、深酒だとかある種の人間関係だとかに決定的な終止符を打つきっかけが、本書には隠れていると思う。
では本書のいう「人が喫煙を続ける理由」とはなんだろう。もちろんニコチンによる中毒、という物質的な側面もある。しかしもっと重要なのは、「タバコを吸うとリラックスできる」「集中力が増す」「ストレスが軽くなる」という理由だという。そこで著者は問う、「本当にそうだろうか」と。喫煙をしてきた人生を通じて、あなたはリラックスし、集中し、ストレスを軽減してきただろうか。事態は真逆であるはずだ。人間はタバコを吸って安らいだりしない。それでも安らげたような幻想を持ってしまうのは、本書の例えを使うと、自ら頭を壁に叩きつけ、それをやめた時に安らいだように感じるからだ。そしてその仮初の安らぎを得るために、また頭を壁に叩きつけているのだ。本当に安らぎたいのなら、そもそも頭を壁に叩きつけるのを止めるべきなのだ。
落ち着かない、集中できない。だからタバコを吸う。しかしその因果関係は逆かもしれない。タバコを吸うから落ち着かない、という可能性は全くのゼロだろうか? こういった因果関係の取り違えは僕たちの人生ではとてもよくあることだ。25才頃の僕は毎日毎日、飽きもせず不機嫌だった。当時の僕は自分の不機嫌の理由は僕以外の誰かのせいだと思い込んでいたけど、実際には自分の見栄っ張りなトコロとか、結果に飛びつこうとするトコロが最大の不機嫌ジェネレーターだった(あとタバコもね)。もちろん、いつだってどこにだって失礼な人や迷惑な人はいるだろうけど、よそからやってくる不機嫌なんて拒否しちゃえばいいだけだ。来る日も来る日も不機嫌ってのは、自分が原因ではないかと疑ってみるに十分な状況証拠だ。だから毎日不機嫌な人をみると、以前の僕と同様に、「カッコつける必要」や「結果を出す必要」があると思い込んでいるんだろうな、と考えるようになった。もちろん、これもまた思い込みかもしれないけど、そうやってなんでも相対化するポストモダンチックな考え方にはスッカリ懲りたので、特に不安はないですよ?
で、おすすめです。タバコを吸う人吸わない人、どちらも楽しめます。たまにしか吸わないから大丈夫、なんて人はにはとくに勧めます。もし中毒になりかけでないのなら、かなりねじくれた状態でしょうから。
追記:今のところ、母の禁煙は続いています。(2010/Jan/15)