2010年7月5日月曜日

リフレ選挙

 引越しだ何だとばたばたしつつも選挙です。今や各政党のマニフェスト入りが当たり前になっているデフレ脱却ですが、今回はその目立ったところをまとめるぜという企画です。取り上げる政党は民主党、自民党、みんなの党、そしてたちあがれ日本です。引用部分は赤くします。

 まず民主党のマニフェスト(参照:民主党の政権政策)から。PDFをダウンロードしてみると、四ページ目のど真ん中、どーんと大きな文字で、
  • 「政府と日本銀行が協力して集中的な取り組みを進め、早期にデフレを克服。」
  • 「名目成長率3%超、実質成長率2%超の経済成長。(2020年度までの平均)」
  • とあります。集中的な取り組みってなんでしょうかね。コレ以外の経済政策については規制緩和と産業政策っぽいことしか書いていないようです。

     つぎに自民党(参照:自民党政策集)。経済政策を扱っている三ページ目のトップに、「この3年間に、金融政策、税・財政政策、成長戦略など、あらゆる政策を総動員し、早期のデフレ脱却と景気回復を図り、名目4%成長を目指します。仕事を創り、誰もが働く場を得られる社会を実現します。」と頼もしい。具体的には当面の経済財政運営として「デフレ脱却を急ぐため、下限がゼロを超える物価目標(例えば1.5%プラスマイナス1.0%)を定めるなどの金融緩和政策や「日米欧中を中心とした国際マクロ政策協調(平成のプラザ合意)」をはじめ、税・財政政策、成長戦略など、あらゆる政策を総動員し、GDPギャップ解消を進めます。」と書いていて、実際の政策にも踏み込んでいます。全部をちゃんと読んだわけじゃないけど(長いので)、日銀のあり方に言及した箇所はないようでした。それにしても産業政策がお好きなんですねえ。

     つづいてみんなの党(参照:みんなの党の選挙公約)。経済政策については世界標準の経済政策を遂行し、生活を豊かにする!という見出しで、1.年率4%以上の名目成長により、10年間で所得を5割アップさせることを目標とする。というふうに始まりいろいろあって10.中央銀行は手段の独立性を有するが、目標は国民が決めるとの世界標準のコンセンサスに従い、物価安定目標を設定し、危機脱出後の成長軌道を確保。という感じ。成長戦略については別ページ(参照:みんなの党成長戦略)を設けて説明していて、そこでは、「デフレからの脱却が、成長のための大前提である。デフレギャップ解消のため財政金融一体政策を講ずる。当面40兆円のデフレギャップを解消するためには、財政政策とセットで、金融政策を講じ通貨供給量を拡大する必要がある。」とか「政府から日銀に対し、例えば、20兆円の中小企業向けローン債権に政府保証を付与した上で、金融機関から日銀が買い取ることを要請できるようにする。これにより、地域金融機関のローン債権がキャッシュに変わることで、貸出余力が高まり、有効需要創出の効果が期待できる。」とあります。

     さて自民党とみんなの党がかなり明確に悪魔的な政策(参照:官房長官時代の与謝野氏の発言)に手を出しているんですけど、それでは、金融危機のさなか経済担当の大臣を三つも兼務して、特に何もしないという斬新な政策を打ち出した与謝野馨氏が共同代表をつとめるたちあがれ日本の経済政策はどうなっているのでしょう(参照:たちあがれ日本のHP)。強い国際競争力で「本物の成長」を持続すると題してはじまる経済政策ですが、その三番目に、早期デフレ脱却へ民間貸出を増大とあります。内容は、過度の量的緩和には、国債バブルと資本逃避のリスクがあります。持続的なデフレ脱却のためには、民間金融機関がリスク回避で貸出しをしぶり、成長機会を奪っている現状を打破することが不可欠です。続いて、民間貸出の年10%増加など、数値目標を掲げ、政府・日銀一体でリスク投資(研究開発、設備投資、M&Aなど)を支援します。となっています。

     本当は民主党についてもっと書きたかったんですけど、デフレ脱却についてはあんなもんなんですよね。あとたちあがれ日本の言葉のチョイスが良くないな、と思いました(いえ、党名という意味でなくて)。「本物の」とか「リスクがあります」とか、もう議論する気ないだろ、と。本物かどうかだれが決めるんじゃい、とか、そりゃ何にだってリスクはあるじゃろがい、どの程度のリスクなのかがもんだいなんじゃろーにとか思っちゃいますね。個人的には今回の選挙、一択クイズです。