高橋洋一『日本経済のウソ』
日本経済のウソ 高橋洋一 |
・「麻生政権の財政出動では十分ではありませんでした。経済規模から見れば、GDPが日本の2.4倍のアメリカで78兆円、日本とほぼ同じGDPの中国で56兆円の景気刺激策でしたが、日本の第二次補正予算は14兆円でした。」(pp. 24)
・「2009年の政権交代時、日本の10年国債の利回り(収益の割合)は1.2%、10年物価連動国債の利回りは2.4%です。これから一般物価の将来予想はマイナス1.2%となります。一方、アメリカの10年国債の利回りは3.2%、10年物価連動国債の利回りは1.5%です。これから一般物価の将来予想はマイナス1.7%となります。したがって、日本とアメリカで、それぞれ名目金利は1.2%と3.2%、実質金利は2.4%と1.5%です。このように実質金利が日本のほうが高いので、今後日本の設備投資に懸念があるのは当然です。」(p.27)
追記:2010/Oct/13
上の引用箇所でアメリカの一般物価の将来予想が「マイナス1.7%」というのはおかしい、という指摘をコメント欄で頂きました。本書で確認したところ「マイナス1.7%」となっていましたが、そこがマイナスだとアメリカもデフレということになってしまうので、本書自体(と僕の引用)のミスですね。 (追記終わり)
日本の経済対策が不十分なこと、日本の金利は特別低いわけじゃないこと、こういったことが2008年以降、世界経済の停滞と各国の対策を経て証明されてしまったのだ。あと、本書にあるグラフはどれも日銀の仕事ぶりをこれでもかというくらい浮き彫りにするもので、強く印象に残った。
個人的には為替介入の仕方が2000年以降変わったというところが勉強になった。介入のための資金は市場を通して調達されているので、ただ介入しただけではハイパワードマネーは増えない。これはまったくの不勉強でした。言い訳をすれば、日銀があれだけ介入を嫌がるもんだから、日銀が介入のための資金を供給してるのかと思うのは人情ってもんでしょう。現実にはそうではなくて、日銀が国債を買い上げない限り、市場のお金が移動するだけということらしい。いや勉強になりました。
奇妙なことにこの本にも「成功にとりつかれた日本の中高年男性」の影がちらついてるような気がする。
狩集紘一『暴力相談 「こわがらせる人」との交渉術』
暴力相談 狩集紘一 |
著者は警察官として暴力団対策に携わってきた人で、引退後、その経験と知恵を市民と共有する活動をしているそうだ。暴力団やそんな感じの人と接触したときにどうすればいいのか、その方法をかなり具体的に(どんなふうに話せばいいのかというぐらい具体的に)、解説しているうえに、脅しつける人の心理まで解説していて、「なるほどな」「やっぱりな」と納得すること請け合いだ。そして彼らの心理を知ってしまうと、あんまり怖くなくなっちゃうんですな。なのでどうも話しの通じないオジサンとお付き合いのあるかたは是非どうぞ。
ところでアマゾンのレビューを見ると、対策がどれも同じという批判があるけど、その通り。それは副題にもなっている「こわがらせる人」ってのが一種類しかいないってことを示唆している。つまり「成功にとりつかれた男性」ってことだと思う。もちろん実際の現場はそれぞれ事情が異なるだろうし、予想のできないことが起こったりもするだろうけど、本書が提示する対策には説得力があると思う。
ヤマザキマリ『イタリア家族 風林火山』
イタリア家族 風林火山 ヤマザキマリ |
テルマエ・ロマエII ヤマザキマリ |
ロバート・I・サットン『あなたの職場のイヤな奴』
あなたの職場の イヤな奴 ロバート・I・サットン |
当然、この本には「成功にとりつかれた男女」の話しか載っていない。自分は大丈夫と思ったら、それが「クソッタレ」病のサインです。