2009年4月26日日曜日

なにがしたいんだ


4月24日、こんなニュースがあったとさ。

世界経済は予断許さず 日銀総裁、包括的な政策発動を訴え


日経新聞web魚拓

日本銀行の白川方明総裁は(中略)潤沢な資金供給や金融機関への公的資金の投入、包括的な景気刺激策の発動が必要と訴えた。


………なんか腹立つ。

この人、ものすごく頭のいい人なんでしょうが、日銀のような重要な組織のトップには向いていないのでは? 

不況になると人々がお金を使わなくなる、ってのは誰でもわかる話。消費は誰かの収入になるものだ。だから不況下では人々の収入は落ちてしまう。そして少ない収入は消費をさらに少なくする。この悪循環を立たなきゃ不況は終わらない。だから人々の代わりに政府が使う。道路整備したり減税したり給付金を配ったりすればいい。この際多少無駄になっても構わない。例えば政府がお金を使って穴を掘って埋めもどしたとしよう。これはもうどうしようもなく無駄だが、少なくとも穴を掘って埋めた人は給料を得る。その人にとってはとても意味があるだろうし、その人が歯を治療したり娘にケータイを買ってやったりするだろうから消費も一人分戻ってくる。不況の時にはそんな無駄なことでさえ充分意味がある*1

もう一つできることがある。人々がお金を使わない、というのは、言い換えれば人々はお金の価値を高く評価している、ということでもある。なので、お金の価値を少し下げてやれば良い。そうすれば人々はお金よりもモノを手に入れたり、サービスを受けるほうが価値がある、と感じるようになる。そしてこれができるのは中央銀行だけだ*2

さて今、各国の中央銀行がリスクのある資産(債券とかね)をバシバシ買い込んでいる。当然資産の代わりにお金を払うわけで、そうやって中央銀行は市場にお金を注ぎ込んでいるわけだ。そうすれば世に出回るお金の量が増えるし、更に、お金を発行している中央銀行がリスクを取ることで、お金に対する信頼を少し傷つけることができる。そうして人々がお金を手元に置いておくよりも、モノやサービスに価値を感じてくれれば不況は終わるだろう。

翻って我らが日銀は、なんつったって「失われた10年(15年?)」を生み出した元凶なわけで、なんでも「包括的な景気刺激策の発動が必要と訴えた」そうですが、それはあなたの仕事でしょう! 「銀行券ルール」とか訳の分からんことを言って景気対策を渋っているのはどこの誰だよ!



*1:もちろん政府が意味のあることに使うほうがなおいい。でも、何が意味があるのかを決めるのには時間がかかる。不況で困っている人は、今仕事やお金が必要なわけで、時間がかかればかかるほど余計に苦しむことになる。なので多少無駄でもこの際割り切るべきだと思う。アメリカのグリーン・ニューディールは環境保護に反対する人が少ないからすんなり決まったんだろう。ま、それでも中央銀行ができることにくらべると時間は随分かかる。

*2:ホントはそうじゃない。民主国家なんだから、国民の代表である政府が決めてしまえば何でもできるでしょう。それが一時期話題になった政府発行紙幣だ。ま、日銀がちゃんと仕事すれば必要のないものではある。



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