竹森俊平『資本主義は嫌いですか』
資本主義は 嫌いですか 竹森俊平 |
人間の経済活動は、あたりまえだけど、とても複雑だから予測どころか何が起こっているのか具体的に説明することさえ難しい。例えば、あなたが今持っている百円玉が1年後、どのような経路をたどってどこにたどり着くのか、予測することは不可能だろうし、その百円があなたのところにたどり着いた経路も、一手前(コンビニでおつりをもらった)までしか分からないはず。
世界デフレは 三度来る 竹森俊平 |
本書は経済学者たちが今の世界をどう見ているのか、とても具体的に紹介してくれるし、今話題の時価会計の問題点を指摘する学者の説も、きっちり書いてある。僕が一番面白く読んだのは何故アメリカ(と原油と穀物)に資本が集中したのか、というところ。答えは中国やロシアなどの新興国の投資先不足だ、というもの。これらの国はせっかく豊かになったのに、国内に投資先がない。いや、あるんだけども、例えば地方に道路を敷いたり電気を通したりすればいいんだけども、国情が不安定であるからお金持ちたちは国内に投資することを避ける。だってせっかく自治体や地方企業に投資しても、上手くいきそうってところで政府に取り上げられたりするかもしれないから。で、こういったお金が国外へ流れ出ている上に、お国の事情もあるんでしょうけど、こういう投資家はとにかくすぐに結果を欲しがるようで、リスキーな投資を好むんだそうだ。ま、なんとなく事情はわかりますね。ちんたらやってたら政府に目をつけられるかもしれないし。
1997年 竹森俊平 |
こうやってさまざまな国から流れ出したお金がたどり着いた先が、アメリカであり原油であり穀物だった。
日本は他人のこと言えないんだけど、なんか豊かになるという目標がねじくれちゃったような印象を持った。みんな自分の住んでいる社会を豊かにするよりも、自分が豊かになることを優先させているようだ。貧乏人ならそれが当然だけど、お金持ちがそういう行動を取るのはどうだろう。ほんと、日本人には言われたくないでしょうけど。
景気ってなんだろう 岩田規久夫 |
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