FRBの発表から一夜明けて、なんかマスメディアは「日本も続け! 日銀何やってんだ!」みたいな雰囲気ですなあ。もちろん良い事だと思うけど、日本はずっとデフレなんだからもっともっと早くやらなきゃいけなかったんだ。メリケンを待つ理由なんかない。
経済学者のマンキューさんのブログを読んでいたら、オバマ政権入りが決定した物理学者のチューさんが、「アメリカのガソリン税をヨーロッパ並の水準に上げたい」と言っているんだそうな。うーん、エネルギー・環境対策チームの長官になる人として抱負を語っているのだから当然のことなのだけど、不況の入り口でそんなこと言わないで、とも思う。「消費者が燃費性能の良い自動車を選ぶことを後押しする政策を実施したい」、とかマイルドな感じでお願いします。
で、今回の本題。今更ながらタンス預金について疑問に思うことをメモ。
今現金として出回ってるお金の総額は75兆円くらいだそうだ。んで、今年の夏の日銀レビューが発表したタンス預金の予想額が30兆円。半分とは言いませんけど相当な金額ですね。レビューの中では、金融システム不安とペイオフ、低金利が、タンス預金の原因としていて、それはそうなんでしょうけど、なぜ現金? と思うのです。普通預金でいいじゃん。
預金金利が低いから、タンス。という理由が考えられるけど、それにしたって現金のまま持っていたって利子はつかないし、銀行(や郵貯)に預ければ、泥棒の心配も無いし、今はATMがどこにでもあるのだから不便でもない。ペイオフのせいというのもわかるけど、流石に1,000万円を超える金額を家の中に置く人がたくさんいるとは思えない。
このお金は使われないわけで、生活費とは当然別だ。なので流動性選好というのじゃ説明できないんじゃないかと思う。レビューによれば1995年にはタンス預金は5兆円ぐらいだったそうだ。それが6倍にも跳ね上がった理由は何だろう(ちなみにレビューにはもう一つの計算方法が載っている。その方法だと1995年に1兆円だったのが2007年では30兆円になったという)。
跳ね上がった結果をみると、デフレが続いたわけだから、実質的に利子がついたことになる。しかしこれは結果論だと思う。デフレを狙ってタンス預金はしないだろう。だってそれなら銀行に預けていたって同じなのだ。低いながらも預金金利もついてくるから、預金のほうが有利だし、流動性ったってあんまり現金と変わらないと思う。
それでも現金という形を選ぶ理由といえば税金ぐらいか。でもなあ、預金に対する税って利子に対する税(20%)だから、タンス預金の金額が数百万円で金利が0.01%だとしても数千円くらいのもんだ。結果的にはデフレだったけどインフレリスクだってあるわけだし。
うまいこといけば相続税をばっくれちゃえるかも、ということなんだろうか。脱税と言えば現金だし。それと、振り込め詐欺で、税金の還付金がどうのこうのといわれてダマされる被害者がいるという話を聞いて、随分税金に敏感なんだな、と思ったことがあった。知らぬまに税金を持っていかれているという意識があるんだろうか。例の「国の借金は国民一人当たり云々」というアレな話や、税金の無駄遣いとか、消費税アップの話とかを毎日聞いていれば、近い将来、ものすごく重税になる気がするのも頷けるが。
日銀レビューでは、
これらの点を踏まえ、先行きの銀行券や流動性預金の動向に対する見方を示すと、鍵を握る高齢者は、今までのところ金利の緩やかな上昇に対してあまり反応していない。このように、高齢者の金利感応度が相対的に低いことからすると、先行き、金利が多少変動しても、それが小幅に止まる限りは、高齢者の銀行券、流動性預金の保有は大きく変わらず、高止まりを続けるとみられる。(p.5-6)
とあって、高齢者が現金を保有し続けている理由を一応低金利としてるけど、よく分からない。
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