『ボビー・フィッシャーを探して』という映画をみて、とても面白かったので、登場人物のその後が知りたくなった。映画はある実在の天才チェス少年の話で、その父親が書いた同名の本(
"Searching for Bobby Fisher")が原作だ。タイトルのボビー・フィッシャーはチェスの名人。奇行で有名な人だったそうだ。映画に出てくるわけじゃなくて、彼のエピソードが少年によって語られるだけだ。それでもタイトルに出てくるのは、少年がボビー・フィッシャーの再来であると期待されていたから。少年が周囲の期待にどう反応するか、というのがこの映画の見所だろう。
その少年がジョシュ・ウェイツキン。これから書評しようとする本"The Art of Learning"の著者だ。彼は21歳以下の全米チャンピオンに8回なった。その彼にとって上述の映画はとても重要な役割をもっている。映画はアメリカ本国でかなりヒットしたそうだが、そのことが、ジョシュのチェスプレイヤーとしての人生に大きく影響することになった。映画はジョシュが6歳から8歳くらいまでをえがいているが、封切られた時、彼は高校生だったそうだ。
著者のことを、僕はあたりまえのようにジョシュと書いてるけど、彼にはそうさせる魅力がある。とてもやさしいのだ。『ボビー・フィッシャーを探して』は、彼の優しさについての映画でもある。
本書"The Art of Learning"のタイトルは、おそらく孫氏の兵法"The Art of War"をもじってつけられたんだと思うけど、タイトル通り、学習法についての本だ。でも、ジョシュの人生についても多くページを割いている。
チェスも将棋もわからない僕が本書を手に取ったのは映画のジョシュがあまりに素敵な人物であったからだが、一読してみて驚いたのは、彼がすでにチェスを辞めていたことだ。
もちろん、個人的にはプレイしているんだと思うけど、大会に出てタイトルを争ったりはもうしていない。そしてそのきっかけが、あの映画だったという。
その2へつづく
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